厚木市の通知表ミス 再発防止へ議論

厚木市の通知表ミス 再発防止へ議論
カナロコ by 神奈川新聞 2015年2月4日(水)7時3分配信

 厚木市立小中学校で通知表の記入ミスが再発した問題で、市教育委員会は3日、「通知表誤記載防止検討委員会」の初会合を開いた。3月末までに事故防止ガイドラインの見直しなど、再発防止策をまとめる。ただ、約1カ月後に始まる3学期の通知表作成作業については、校長会を中心に緊急の対応策を講じるという。

 同検討委は市立小中の校長会長、総括教諭代表、市教委事務局ら7人で構成。委員長は唯一の第三者で、神奈川工科大学の金井徳兼教授が選出された。

 市立小中学校では、2年前に通知表の誤記載が問題となり、ガイドラインをつくった経緯がある。再発した今回は、2学期の終業式で配布された通知表で発覚。総点検の結果、小学校17校85人、中学校8校83人に出欠席日数や所属委員会名などの所見欄、併記された1学期の評価・評定などに記入の誤りがあった。

 事務局がまとめた原因分析によると、小学校では本年度から導入した「エクセル」を活用した共通シートでの操作ミス、中学校は原簿から手書きでの写し間違えがそれぞれ大半を占めた。

 ガイドラインに定められたチェックリストはいずれも学校で使用されていたが、こうした単純ミスは見逃された。システム上、既に通知した1学期の内容を無断で書き換えないように保護する設定自体を忘れた事例もあったという。

 各委員からは「確認などに認識の甘さがあった」「パソコン操作に不慣れ」などの反省点が挙げられた一方、「部活動で作成時間が確保できない」「チェックの多重化にも落とし穴がある」など、再発防止に向けた課題も指摘された。

 金井委員長は「問題は作業の電子化だけでなく、業務の流れや権限・責任の所在など多岐にわたっている。学校現場が忙しい中で、誰でも対応できるマニュアルを整備する必要がある」と述べた。

◆議論尽くした見直しを −解説−
 厚木市内の小中学校で通知表誤記載が最初に発覚したのは2012年7月。この時は14校54件だったが、今回は25校168件と大幅に増えた。約7割の学校でミスが起きているという深刻な実態となっている。

 スタートした通知表誤記載防止検討委員会では、前回のミスを教訓に作成したはずの再発防止のガイドラインが約2年で効果を失ったのか、まずその検証が必要だ。

 通知表の大量の誤記載は、11年10月に小田原市内で発覚して以降、横浜、大和、鎌倉市など他自治体でも相次いで見つかった。

 小田原市教育委員会では直後に第三者を入れた調査委員会を設置。チェックシートの使用、ミスの多かった出欠日数などを別の確認表に移し、校務支援システムも導入したが、ミス根絶には至っていない。

 厚木市は「教育環境日本一」を掲げる。学校への信頼こそがその原点であることを肝に銘じ、議論を尽くした見直しが求められる。

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